石神井の家 Pioggia e Sole


●雨と太陽と共にある家 
「Pioggia e Sole」 とは「雨と太陽」という意味で、一日の大半を自宅で過ごす夫婦のための住まいである。
書斎に籠って仕事をする事が多いご主人は、仕事の合間に気分転換ができ、家族や仲間とリラックスして過ごせるようなる空間を望まれた。しかし、ここは3方を建物に囲まれた住宅地。1階レベルでは良好な景観や冬場の日射しは期待できない。
●空間にコントラストを持たせる。
そこで、日当りと視界の良い2階に利用頻度の高いLDKを設け、そこを基点に諸室を配置し、大きなL字型の屋根で全体を包み込むような家を考えた。通り側に屋外デッキを設け腰壁で囲うと、日常的な風景から少し切り離された、開放感と安堵感が両立する空間が生まれた。
●タイムラグをつくり出す『容量の大きな器』
このL字型の屋根は風雨から生活を守るシェルターとして機能すると共に、日射をコントロールしたり、雨水を集める装置としても機能する。また、雨水や発電した電気や廃熱をストックできる機能と、熱容量の大きな仕上げ材とを組み合わせると、開放的でありながらも外部の環境変化に対してタフな屋内環境を持った家がつくり出せると考えた。
特にエネルギーを消費しない雨水は、必要な時に散水することで冷房負荷を抑えてくれると共に、デッキに水を貯めれば、涼感や視覚的な優雅さをもたらしてくれる。この地に於いて一番の恵みである雨と太陽にあやかった家である。